閃光を浴びて
舞台「閃光ばなし」を観てきました。
忘備録としてのあらすじ(ネタバレ)と感想です。
観劇したのは9/29昼公演。
ちなみにこの日がこの舞台初めてのマチソワの日でした。
この前のブログでどこにも出かけられない…みたいな話をしていたのですが、
その後、
感染対策しながら生きなきゃいけないけど、
感染対策のために生きてるわけじゃないねん。
満員電車に乗って通うことや、マスクなしのひととも接するしかないことや、大声で怒鳴るひともいるなかで仕事をしてることと、
休みの日に気をつけて生きる楽しみをつかみに行くことと、
考えたら、
自分の線引きを変えることができました。
なにより、好きな人たちに手を引いてもらえたと思っています。
昭和三部作完結編と聞いて、「俺節」「忘れてもらえないの歌」の世界にどっぷりだった私は、とにかくこれを観ないなんて考えられない、と。
コロナ禍でなかなか出かけられなかった人、つらかった人、この舞台がそうした人たちをひっぱりあげるものになればいいと、キャストの方々もインタビューやパンフで仰っていて、まさにそんなパワーを頂きました。
以下、あらすじと感想がまじったものなので、観劇予定のある方は読まない方がいいです!!その前に、パンフは買った方がいい!とおすすめしておきます。
自転車屋の息子佐竹是政(安田くん)と妹の政子(黒木華ちゃん)
昭和シリーズで馴染み深い、ごちゃごちゃした町の喧騒のなかから、俺たちの安田章大、佐竹是政登場!!!
こんなんもうね、泣いてしまいましたね。
ああ、生身の安田くんだ……観に来れたんだ、と。芝居中はずっと「是政」やったけど、冒頭のこの時ばかりは3年ぶりに会えた安田くん!!!というシンプルオタクの感情が爆発してしまった。
佐竹一家。
母は蒸発してその後死に、その骨を拾いに行くと出かけた父は酔っ払いに絡まれて死ぬ。
んだけど、父は酔っ払いに名産品で殴られて死ぬんですよね(??????)
東京に行った母は何か知らんが岐阜の山奥で死に、父は途中の静岡で、みかんで殴られ、うなぎでさされて死ぬんですよね。
どコメディなにw
戦争について直接描かれているのはここだけ。
是政が戦争に行っている間に政子は焼肉屋の柳(片桐仁さん)と結婚してる。
この兄妹ほんまずっと一緒にいて、焼肉屋の旦那さんなんて面白みのない同居人くらいの扱いになるんやけど、それでもお互いが嫌いだとかいう描写はないんだよねぇ。パンフにも書かれてるけど、旦那さんは自由奔放な政子が羨ましいんだ、ということ。
兄妹たちが住む町は都市計画でつくられた川で分断され、あちら側に行くために迂回をし続けなければならない毎日。そのせいで商店のお客さんも減る一方。迂回するバス会社の利益のために橋はかけてもらえず、是政たちが勝手に作った橋はぶち壊される。どん詰まり。
そこで船で渡そう、バイクタクシーをみんなでやろう!とするも、権力者に潰され、借金が重なり、会社は訴えられ…権力、金、良くならない暮らし…どん詰まり。
バイクは思ってたよりめちゃくちゃ登場します。
舞台上をバイクで走り回る是政、くっっっそかっこいいです。
是政だけじゃなく、政子もブンブン乗り回すし、バイク入り乱れ舞台です。
あと昭和三部作らしく、殴り合いまくり。
振り付け、ってあったから踊るのか!と思ってたけど踊るのは政子ちゃんでした。
是政が照明に照らされて(是政くんはメガネしてないです)歌うシーン、ほんまなんて言っていいんか、感動したとか、良かったとか、そんなことしか言えない自分がつまらねぇなぁ、と思うんですが。最高に良かったです。
是政の元婚約者であり、川向うの大寺院のお嬢さま、由乃は、まだ是政に未練があって支援している、のかと思いきや、
結婚式当日に来なかった(!!)是政に、積年の恨みをぶつける。
ここまでとってもお上品だった由乃の狂気が現れて最高に好き!
もう気にしてないもの!!と言いつつ、繰り返し裏切られた恥ずかしかったとリピートし、加熱していく由乃。
ゆうたれゆうたれ!!!!という気持ちになった。
で、まじでぶつける。ボクシングで。ボクシングで!
最後、是政、金的でダウンだからね!!!
結婚式に行かないつもりじゃなかった、その日どうしても、町のみんなのためにやらなきゃ行けない仕事があった、という是政。
みんなのためにやったって言うけど、そのみんなの中にわたしはいないのね、という由乃。
じゃあみんなのためって言わないで。
自分と、大切な妹さんのためって言って。
ここ、めちゃくちゃぐさぐさ刺さりました。
これより前のシーンで、死んだ父が出てきて会話するタイプの回想シーンがあって。
お父さんはみんなのためにやってるっていうか、みんなが笑って楽しそうにしてるのが好きで、自分がみんなに笑ってて欲しいから、自分のためにやってんだよねー、って話してて。
結局、みんなのためとかいいつつ、自分がそうであって欲しいから、ってこと、私自身も山ほどあって、それでも、「みんな」っていうことで曖昧にしてるよなぁぁぁ、と。
それを由乃がぐさっと刺してきた。
(回想シーンの終わり方、父「もういいか?これお前の回想だからお前が終わらせないと」是政「多分大丈夫」っていう感じでよかった。佐竹父子ほのぼの。)
裁判に出廷している是政を、政子がバイクで乗り込んで迎えに来ちゃうシーン。
是政「どこいくんだよ」
政子「行先聞かないと乗れないの〜?」
政子終始こんな感じ!好きすぎ!
是政はみんなの前では若旦那!って呼ばれて町のリーダーなんやけど、妹と2人やと、翻弄されるシスコン兄、政子政子なのも面白い。
で、バイクでどこかに向かって走る2人。
「もうこうするしかない」
崖に向かってスピードを上げて…
ここから「ド演出」!!
浮いてるバイクに2人が乗ってて1階席前列の上を飛ぶんよ〜!!!おおおお!
(クレーンの先にバイクがついてます)
1階席前列だったわたし…舞台上でもめっちゃ近い近いと思ってたけど多分この時がいちばん近かったな。
見上げた上に佐竹兄妹。
崖からバイクのまま突っ込んだという演出で、その後ガラガラドッシャーーーン!!!
まさか、この物語のこの人たちが、こんな強かな人たちがそんな選択をするの…??と思ったら。
みんなが諦めて夜逃げした町、2人だけまだ残っていた住人と、政子のシーン。
やっぱりそうだよねーーーーー
是政は裁判所。
敗訴を聞きに行くだけだからわたしは行かないよ、と政子。
裁判に負けて、借金もあって、町からも追い出されて、それでも悲壮感はなくて、
次は川のない町がいいなぁ、なんて話す政子。
バイクのエンジン音。
あ、お兄ちゃん帰ってきたんじゃない?
遠ざかるエンジン音。
「…違った。」
舞台上の3人が礼をして、これで終わりだとわかる。
好きーーーーー
最後是政が登場することもなく、すごく何気ない雰囲気のなんてことないセリフで終わるのが、
なんだか自分たちの日常ともつながっているような、そんなきもちに。
カーテンコールの安田くんはめちゃくちゃめちゃくちゃかっこよくて、涙と感動と感謝をとにかく拍手にこめて。
登場時につまづきかけた華ちゃんが、次に出る時にあしあげしながら出てきたの可愛すぎたし、それみてどないしたん、みたいに笑う安田くん、キャストのみなさま…すき!!!
2年半ぶりの生身のエンタメ、3年ぶりの安田くん。
本当に観にいけてよかった。