忘れてもらえないの歌は忘れられない


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13:00からの昼公演、終わってすぐ出てきて

16:42

あと1時間半もしないうちに夜公演の幕が上がる

まずそのことについて、改めて、

舞台に立つ方々のすごさに信じられない気持ちになる

 

あらすじを書いてみたいと思います。

ダラダラ長いですが、自分の備忘録なので。

間に感想も入ってきます。

ネタバレになりますのでご注意ください。

 

戦中

歌姫レディ・カモンテが営むカフェガルボで、床屋見習いをしながら客引きをする、安田くん演じる滝野

お調子者で頭がいい、したたかな若者

 

空襲にあい焼け野原をさまよう滝野は

同じように焼け出されて「心が空っぽ」になってしまった人たちを目の当たりにする

 

あんなに陽気だった滝野が怯えてさまよう姿が

戦争の表現として伝わってくる

 

戦後、闇市で床屋をやろうとしたが

その闇市を仕切るやくざの親分、鉄山(渡辺哲さん)に見つかりショバ代を払うまで近づくな!と追い出されてしまう

しかしかつてのカフェガルボの常連客良仲(中村蒼くん)や稲荷(福士誠治さん)、バーテンの瀬田(大堀こういちさん)らと再会し、

生きていくために進駐軍相手のバンドを結成する

英語で歌えないなら話にならないと、拾い屋(バンドの仲介屋)のオニヤンマ(桑原裕子さん)に見放されそうになるも、

その場にいたパンパンの麻子(木竜麻生さん)が突然英語で歌いだし(客が歌うのを聞いて覚えた)、

仲間になる

 

My Blue Heave

恐らく劇中で一番歌われた曲ではないだろうか

みんなにとって

初心に返る歌であり

心の叫びを代弁する歌であり…

 

楽器がないままジャズができることを証明しようと

口だけで(ボイパ)リズムを刻みメロディーを歌う4人のなんと楽しそうなことか

 

ピアノの良仲とベースの瀬田以外は楽器ができないまま

とにかく練習を始める

瀬田がドラムの曽根川(村上航さん)を連れてきたり

楽譜を手に入れようとして(盗もうとして)、ボッコボコにされそうなところを

以前闇市にいた少年大(まさる)(佐野くん)に助けられたり…

 

そこから衝突しながらも上達し

バンドの形が出来上がっていく

進駐軍たちにも気に入られるが

曽根川が去ったり、

ドラムとして大が加わったり、

進駐軍が引き上げて急に仕事がなくなったりして…

 

頭のいい滝野は

そんな危機も予想して、いろいろとみんなに提案するものの

お調子者の金好きで、金儲けのことしか考えてない!と思われ続けてしまう

鉄山のシマにある店で演奏したり

なんとかいろんな形でバンドの仕事をとってくるものの

噛み合わず、うまく行かず

ばらばらになってしまう仲間たち

 

シングシングシングを歌い踊る滝野くんは本当に本当に可愛いの

これはもう本当に可愛いの

 

滝野は、鉄山の援助(借金)受け

奇跡的に焼け残ったカフェガルボを買い取り

歌声喫茶を始める

鉄山もすでにトップではなく、子会社として働いていた

 

鉄山さんは最初シンプルに

めちゃめちゃ腹立つおっさん〜!

だったのにもう最後は

鉄山さ〜ん!!!って感じになるよ

滝野くんのことをもう息子みたいに思ってるよね

レコード出すぞ!ってときは喜んで抱き上げてくれたりして

 

とうとうカフェガルボも潰れるしかないというとき

良仲、稲荷、と再会し、瀬田、麻子も集まる

そこで、滝野は知らなかったが

超人気ロカビリー歌手となった大を

マネージャーになった曽根川が連れてくる

そんな大を受け入れることができないみんな

曽根川は怒りながらも

今度ソロデビューする坂本っていうガキ(坂本九のこと)に曲を書かないかともちかける

その仕事を受け5人で曲作りをする

かつてのみんなで笑って過ごした頃が蘇るような明るい笑顔

そうしてできた曲が「夜は墨染め」

悲しくて明るい

明るくて悲しい曲

スカパラさんが作ってくれた曲〜!)

 

レコードの発売日

手にしたレコードを聴いてみると、

全く違う曲に変わっていた…

坂本九上を向いて歩こう

 

曽根川に騙されていたことに気づく面々

滝野はスタジオ代を建て替えてくれと言われてお金を渡していたが、勿論返ってこない

 

もう会わないほうが、早く思い出にできるからという麻子

 

セピア色にして古いジャズでもかけてれば…というところで

セピアの照明に照らされる滝野以外の4人

流れる、途切れがちなジャズレコードの音

明るく笑う5人(離れて立っている滝野はセピアに照らされていない)

4人が去った途端、もとの照明に戻る

この演出が素晴らしくてぞっとした

 

かつての歌姫レディ・カモンテは

一文無しになり拾ったゴミを売って生きていた

取り壊されることになってしまったカフェガルボを訪れ

建物ごと、自分のこともみんな忘れられてしまうと話す

自分たちが、ここで作った歌は

忘れてすらもらえない曲になってしまったと言う滝野

カモンテに促されて

最後の曲

夜は墨染めを歌い始める滝野

歌の途中、解体屋がやってきて

大きな音を立ててガルボを壊していく

オロオロするカモンテ

それでも歌い続ける滝野

 

最後、絞り出すように

うつむいたまま 歩く

と歌いきる

 

いい歌じゃない

…………ありがとうございます……………

私がいつかちゃんと、忘れてあげる!!

ハハッ…!

 

これで暗転

 

すぐにカーテンコールへ

 

結局最後まで

滝野くんは音楽が好きで

仲間が好きで

仲間のためになることをしたいと思っていることは

仲間に伝わらなかったし

空回りし続けた

そんなときでもずっと笑う滝野

悲しい明るさ

 

 

夜は墨染め

安田くん演じる滝野亘が

最後に歌う歌、忘れてもらえないの歌

 

うつむいたまま歩く

と歌いたかった、歌って欲しかった

東京ワンダフルフライの夜は墨染めは

上を向いて歩こう、にかき消されてしまって

忘れてもらえない、歌になってしまったけど

やっぱりカモンテが最後に

いつか忘れてあげる!!って宣言してくれたことで

最後の最後に救い、悲しくて切ないけど、明るさがあるんだと思わせてくれる

滝野くんはいつものように、辛いときほど笑ってきたように、ハハッ…!

 

鳥肌が立つ

 

いつかまた滝野くんが本当に嬉しくて楽しくて笑えますように

 

カーテンコールの安田くんは

今まで見た舞台のときと同じようになんだか照れた笑いを浮かべて

かけてくる

そしてどうでしたかこの素晴らしいキャスト!って、顔をしてる

ように見えてる

そんな安田座長に

墨染めからの涙が引っ込まないままの私は

とにかく拍手をし続けました